先日、創立100年記念式典を迎えた母校で、毎年発行されている同窓会誌に寄稿させていただきました。
「法律家の仕事」
地元出身の法律家として、どうしたら生まれ育った地域社会のお役に立つことができるのか。その答えは、紛争が起こってから事後的に解決する臨床法務よりも、紛争の予防,紛争への事前の備えといった予防法務にこそあると考え、私どもの法律事務所では、それを業務の中核として日々執務に励んでいます。地域社会に貢献するといっても、我々弁護士は、1件1件の相談案件や受任案件を地道かつ丁寧に積み重ねていくこと以外に方法を持ち合わせていません。その意味で、弁護士という仕事は、世間で思われているよりも極めて地味な仕事といえます。
弁護士としての業務に日々没頭する中で、子ども達向けの職業講話は私の生きがいの1つです。時には、小学校や中学校の授業で、弁護士の生き様を語らせて頂くこともありますし、いじめはなぜいけないか、スマホのどこにリスクが潜むのか、法律家としての立場からお話をさせて頂くこともあります。そのような機会を通じ、法的な物の考え方を小中学生のうちから身に付けることの大切さと共に、忖度や政治的な妥協もなく、ただ自分の信念と法律のみに従って仕事をすることができる弁護士という仕事の魅力を伝えていければと思っています。
(中略)
最後になりますが、法律のプロフェッショナルの資格を与えられた者として、常に意識して法的知識と実務技量の修得に努めなければならないことは自覚しているつもりです。文筆力やプレゼン力といった法律家として必須の能力を高めたいと日々藻掻きながら、やればやるほど法曹の道が果てしないことを知り、時に目眩すら覚えます。だからこそ、生涯を通じて身を捧げる価値がある仕事であると確信しています。
この地域から、母校の後輩から、弁護士を目指す若者が増えて欲しいと切に願っています。